応援メッセージ

2020.06.30

富山大学整形外科 助教 野上真紀子先生

これまで女性医師のワーク・ライフバランスやキャリア継続に関する講演・執筆などの依頼を何度か受けましたが、私自身が学生・研修医の頃はこうした支援は殆どありませんでした。最近の若手が羨ましい、と同時に、男女共同参画意識の高まりや、共働き夫婦間での家事・育児分担の考え方の変化、医学部不正入試問題後の女子学生への不公平の是正など、今まで女性達が諦め、黙って背負ってきた負担にNoが言える時代に世の中が大きく変化しつつあることを実感します。

これまでは家事育児は女性がするものという社会常識が根強くありましたし、医師は長時間労働を厭わず私生活も犠牲にして全身全霊で働くものという伝統的職業規範に縛られ、家事育児とキャリアの両立など不可能と言わざるを得ない状況でした。過去に女性医師として出産後もキャリアを手放さなかった偉大な先輩方は、実家の全面サポートを受けて医業に邁進し、それでも女性であるがために男性以上の苦労を重ねたと聞きます。今、状況は少しずつ変わって来ています。専業主婦の妻を持つ男性医師であっても家に帰れば家事・育児は当然、仮にそれを行ったとしてもイクメン等と特別褒められることではありません。また、医師の長時間労働は過労死や医療ミスの誘因とみなされ、厚生労働省の指針に従い医師の働き方改革が進められています。

今起こっている社会の変化は間違いなく女性医師にとって追い風です。もはや子供が生まれたからキャリアを諦めるという選択肢は、逆に少し選択しづらくなるかもしれません。結婚や子の誕生に伴い仕事と家庭の両立に悩むのは、男女を問わずキャリア形成期の医師に共通の課題となるでしょう。けれど、いつの時代でも、どんな家庭を築き、仕事を極め、趣味や余暇を楽しみ生活を送るのか、それを決め、選ぶのは人生の主役である私たちです。それぞれが素晴らしい実りあるたった一度の人生を全うするために、他人の意見に惑わされず自分の夢や欲求を諦めずに追及してほしいと願っています。

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